1.遺伝統計学的解析法の開発 (1)解析対象ゲノム領域の連鎖不平衡の程度をSNPマーカーに基づいて計算し、それに基づいて疾患感受性変異が存在するゲノム領域を最尤法によって予測する新規統計学的手法の開発を行った。シミュレーションによって最尤法による予測の信頼性を検証したところ、組換えホットスポットが関連変異の近傍に存在する場合には、関連変異の位置推定がうまくいかない場合が多いが、ホットスポットがない領域であれば、位置推定が信頼できることが判明した。 (2)Affymetrix社のDNAチップのタイピングコールアルゴリズムに関して、ケースとコントロールを分けてBRLMMで解析した場合に、正確なクラスター中心を事前に推定できなかった一方の群において、ヘテロ接合と判定されるサンプルが極端に増える可能性があることが分かった。 2.デング出血熱関連遺伝子研究 (1)タイ国の病院で治療を受けたデング熱患者(デング熱患者およびデング出血熱患者を合計した約1100名)を対象とし、5q31領域を候補領域として47個のSNPにおける関連を評価したところ、インターロイキン遺伝子が含まれる領域のSNPが有意にデング出血熱と関連していた。 (2)タイ・バンコクに居住する健常タイ人96名を対象に、5q31-33領域(522kb)に存在する77個のSNPを調べ、タイ人集団における当該ゲノム領域のハプロタイプブロック構造を解明した。さらに、HapMap集団におけるハプロタイプブロック構造と比較し、HapMap集団のデータをもとに選択したタグSNPのタイ人集団(東南アジア人集団)への転用可能性を検討し、HapMap東アジア人集団のタグSNPがタイ人に転用可能であることが判明した。
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