世界の7つの研究機関、企業が国際コンソーシアムを結成し、日本人を含む多様な人種のCNVの全貌を解明するプロジェクトを立ち上げた。我々は合成オリゴヌクレオチドゲノタイプアレイを用いて、癌、遺伝病、または個人間などにおけるゲノムコピー数測定をアレル別に精確に決定する方法を樹立している。この手法は、ノイズを含むデータの中から統計的手法で有意な領域を推定するという一般的手法ではなく、サンプル調整からデータ取得までの過程で生じる様々なノイズの原因となりうる実験的パラメーターを数値的に設定し、それを補正することによりノイズそのものを除去するというユニークな手法である。今回はAffymetrix社と共同で全ゲノムで50万箇所の情報が取得可能な500K mappingのシグナル値から上記アルゴリズムを使ってCNVを特定した。 その結果HapMapで使われた3系統270人のサンプルのなかに、約1500箇所、ヒトゲノムの12%以上という、従来考えられていたよりもはるかに広い領域にコピー数多型が見られ、従来知られていたSNP以上の個人間塩基多様性を生み出している可能性が示された。また約3000個の遺伝子が含まれておりこれらの個人差に大きく寄与している可能性が示された。
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