研究課題
バイオインフォマティクス解析によって選択した新規ペプチド配列についてペプチド合成を行い、何らかの生理活性を有する多くのペプチドからなるライブラリーを獲得した。これらを用いて、ヒト、ラットの血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、ラット繊維芽細胞、ヒト、マウスの単球・マクロファージ、ブタの腎由来細胞を始めとする各種培養細胞系において、種々の細胞内情報伝達系の活性化作用を指標に細胞応答を評価した結果、c-myc、c-fosなどの各種遺伝子発現制御作用、細胞周期、血管新生、細胞増殖、細胞死制御作用などを有する因子を選択してきた。これらのスクリーニングにて得られた数多くの新規ペプチドをコードする遺伝子配列を用いて、ヒト主要臓器やヒト由来培養細胞系における発現をRT-PCRにて順次確認してきた。構造解析を詳細に行って得られたペプチド配列のうち何らかの生理活性が認められるペプチドはヒト組織においても発現している頻度が高く、こうした手法によって一定の頻度で新規生理活性候補ペプチドが効率よく選択できたものと考えている。摘出環流心モデルにおいて心筋収縮抑制作用を示す新規因子をはじめ、各種細胞系において顕著な増殖用シグナルを示すもの、さらにサイトカイン様シグナルを惹起する因子などが得られているが、これらの一部については高純度ペプチドの合成からポリクローナル抗体の作成まで完了しており、作成された抗体については順次、主にアフィニティーカラムを用いて精製している。精製終了した抗体を用いてヒト血漿抽出物の逆相クロマトグラフィーの各分画の免疫活性を解析しており、ヒト体液中にバイオインフォマティクスにより予測されたアミノ酸配列が、そのままの分子型で存在するか、あるいは修飾やさらなるプロセシングをうけているかなどの確認を進めている。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
Peptides 27
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