研究課題
心筋梗塞、特発性心筋症、特発性不整脈などの致死性難治性心疾患は、病因または病態形成機構が不明なため有効な治療法や予防法がほとんどない。本研究の目的は、これら難治性心疾患の発症ないし進展に関連する遺伝子群を同定し、それらの機能解析を通じて病態形成機構を解明するとともに、最終的には成果に立脚した治療戦略を開発することにある。本年度の具体的成果は以下のとおりである。(1)網羅的マイクロサテライト解析により同定した心筋梗塞感受性6座位のうち2座位についてtagSNPを用いた関連解析と新規SNP探索を行い、MI-1座内遺伝子のプロモーターSNPが責任多型であることを解明した。また、機能解析を行うことにより、感受性遺伝子は高発現型であることが判明した。一方、MI-2座内の遺伝子は脂質代謝に関わることが判明しているが、責任SNPを同定し、これが高脂血症を伴う心筋梗塞と関連することを明らかにした。一方、LTA、LGALS2、PSMA6多型は、いずれも日本人、韓国人いずれの集団においても心筋梗塞との関連は認められなかった。(2)拡張型心筋症の新しい原因遺伝子として、FHL2変異を同定した。この変異はタイチンへの結合性を低下させるものであった。一方、Cypher/ZASPに結合するタンパクを同定し、拡張型心筋症の原因となるCypher変異はこのタンパクへの結合性を低下することを解明した。一方、PP1Mスモールサブユニットを高発現するトランスジェニックマウスが肥大型心筋症のモデルとなることを示した。(3)LQT症候群やCPVTなどの不整脈患者集団で多数の病因変異を同定したが、複合ヘテロ接合体でのみ発症するHerg変異は興味ある知見であった。一方、原因不明のBrugada症候群症例にサルコレンマタンパク変異を見出した。
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