研究概要 |
(1)臨床情報データベース及びゲノムDNAバンクの構築: 信頼性の高い症例-対照研究を実施するための情報基盤を確立した。20,000例以上の心筋梗塞・冠動脈疾患、糖尿病、高血圧症を含む疾患群、及び対照群として病院受診者だけでなく、健康管理体制の確立した企業従業員(5,000例)を完了した。また、平成17年5月末から、名古屋市近郊の北名古屋市の50歳以上の住民を対象とした前向きコホート研究の一環として、現在までに約3,000例のサンプル収集が行われた。 (2)心筋梗塞・冠動脈疾患罹患同胞対サンプル収集: 公的45病院の参加を得て、サンプル収集をしている。現在222組457名を収集した。マイクロサテライトタイピングとノンパラメトリック連鎖解析を実施中である。 1)心筋梗塞・冠動脈疾患罹患同胞対222組457例(心筋梗塞:312例、冠動脈疾患:145例;男性:361例、女性:96例、平均年齢:66歳)を対象としてマイクロサテライトタイピングを、「基盤ゲノム支援班」(九州大学生体防御学研究所・ゲノム機能制御学部門:山本健先生、東海大学医学部基礎医学系分子生命科学・井ノ上逸朗先生)の研究支援を得て行った。 2)「罹患同胞対すべてが心筋梗塞の同胞のみ」及び「少なくとも1名が心筋梗塞である同胞のみ」のデータセットにおいて、強い連鎖を認めた。 3)5染色体領域において、多点連鎖解析により1.5以上のLOD値(≒P<0.01)が得られた。そのうちの2領域では,LOD値が2.38を越え(≒P<0.001),有意な連鎖領域である可能性が示唆された。 (3)今後の課題: 1)心筋梗塞罹患同胞対症例の増加を図る。 2)心筋梗塞罹患同胞対全ゲノム連鎖解析によって同定された連鎖領域に高密度SNPマーカーを設定する。 3)SNPマーカーの平均距離を5-10kbに設定すると、2,000〜4,000SNPs前後の解析が必要であろう。
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