研究概要 |
「研究の目的」 本研究の目的は、心筋梗塞(MI)・冠動脈疾患(CAD)罹患同胞対を対象としたゲノムワイド罹患同胞対連鎖解析により、MI責任遺伝子座を同定し、その領域内に存在する遺伝子(多型)について大規模症例-対照関連解析を実施し、MI感受性遺伝子を同定することである。 「全ゲノム罹患同胞対連鎖解析」 MI・CAD罹患同胞対(227対、457例)を対象として、405個のマイクロサテライトマーカーを用いたゲノムワイド連鎖解析(GWLS)を実施し、5染色体6領域に候補連鎖領域を得た。1領域以外の5領域は、国内外の他の論文で未だ報告されていない。さらに、この内の3領域(LOD>2.2)に20マーカーを追加、設定し、連鎖領域の確認と狭小化を実施した。なお、この解析で得られたmax.peak LOD score=2.9である。 2番染色体候補連鎖領域に約3,000SNPsを設定し、高密度SNPタイピングをMI症例、対照各約500例で実施し、有力なMI候補遺伝子Aを発見した。現在、約4,000例以上の大規模関連解析を実施している。他の候補連鎖領域に関しても、同様に、大規模関連解析を実施する計画である。 「今後の課題」 現在、ゲノムワイド関連解析(GWAS)の研究支援を申請中である。受理されれば、GWLSとGWASが同時に可能となり、1)SNPを用いた連鎖解析の実施と、マイクロサテライトを用いた連鎖解析との比較、2)遺伝的素因の強い罹患同胞対症例と孤発例との感受性遺伝子の相同性、3)連鎖領域に位置する遺伝子の同時並行相関解析の実施、など、遺伝学的にも興味深い多面的な解析が可能になると考える。
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