研究課題
本研究の目的は、シングルセル回収した同種細胞をプールして、組織間や刺激に応じたゲノム発現プロファイル変動を捉え、その生物学的意義を理解するとともに、方法論に改良を加え汎用性をより高めることである。研究代表者は、熊本大・玉巻らと共同で、Eberwine法とSmart法を組合せることにより、シングルニューロンの発現プロファイルを簡便に得ることが可能な増幅法を開発した。本法を用いて増幅したGABAergicシングルニューロンの発現シグナルは、独立試行間で高い相関性を示した。消化管胃部切片より粘膜層ならびに粘膜下層に存在するMMCとCTMCをそれぞれ15細胞プールし、発現プロフィル解析を3回、独立試行した結果、ニグループ間で検定後P<0.05と判別された遺伝子1,272を同定した。CTMCに有意に高発現する遺伝子集団には、CTMCマーカーとして知られるMcpt4,Mcpt5,Mcpt6が含まれ、MMCに有意に高発現する遺伝子群には、MMCマーカーとして知られるMcpt1,Mcpt2が含まれたことから、本シングルセル発現解析の信頼性は高いと考えられた。これらの他に、各マスト細胞特異的に高発現する遺伝子群を同定し、Real-time PCRを用いた検証を行った。これらの遺伝子は、CTMC、MMCの新たなサブタイプ特異マーカーとして有用であると考えられた。現在、引き続き、肺マスト細胞の発現プロファイルとその病態変化に関する検討を行っている。(投稿中)またこれらの組織マスト細胞解析の対比として、マウス骨髄培養マスト細胞やマウス癌化マスト細胞株P-815などの遺伝子発現プロファイルを獲得し、ここから得られた発現情報をもとに、Ndrg1がマスト細胞の最終成熟ならびに脱顆粒応答に重要な役割を果たすことやCaspase-9がヒスタミン合成酵素の活性化を担うプロセシングに関与することを見出した。
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J. Biol. Chem. 283(印刷中)
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