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2006 年度 実績報告書

線状プラスミドpSLA2ーLにコードされた二次代謝遺伝子群の機能解析とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 18018028
研究機関広島大学

研究代表者

木梨 陽康  広島大学, 大学院先端物資科学研究科, 教授 (80224997)

研究分担者 荒川 賢治  広島大学, 大学院先端物資科学研究科, 助手 (80346527)
キーワード放線菌 / 線状プラスミド / ランカサイジン / ポリケチド生合成 / γ-butyrolactone / TetR型リセプター / 二次代謝制御カスケード / Streptomyces
研究概要

Streptomyces rocheiの線状プラスミドpSLA2-L上にコードされた多くの制御遺伝子の機能を明らかにするため、様々な遺伝子破壊株を作製しphenotypeを調べた。その結果、SrrX(Orf85)が生合成するγ-butyrolactone(GB)はランカサイジン(LC)およびランカマイシン(LM)生産を正に、胞子形成を負に制御することが分かった。GBリセプターSrrA(Orf82)はGBとは全く逆に作用し、もう一つのTetR型リセプターSrrC(Orf74)は胞子形成を正に制御し、抗生物質生産には影響を与えなかった。一方、srrB(orf79)の破壊株は両抗生物質を大量生産し、胞子も正常に形成した。さらに、SARP遺伝子srrY(orf75)の破壊株は抗生物質も胞子も作らなくなった。
大腸菌で大量調製したSrrA蛋白とpSLA2-L DNAのSau3Al部分消化物を混合してSrrAの結合断片を検索したところ、制御遺伝子srrB, srrW(orf55)のpromoter領域が取得された。SrrAとSARP遺伝子srrYとの結合はgel retadation実験によって確かめられ、さらにfoot printingによってsrrY上流には2つの結合サイトが同定された。そこにはGBリセプターの結合領域に共通するパリンドローム配列が見つかった。こうして、srrX-->srrA-->srrYのシグナル伝達経路が二次代謝制御カスケードにおいて中心的な役割を果たしていることが明らかになった。
LC骨格を形成する縮合反応に関して、私たちはLkcC-KSが4回繰り返して(iteratively)使われ、残りのLkcA-KS, LkcF-KS1,KS2,LkcG-KSは1回のみ(modularly)使われるというmodular-iterative mixed polyketide biosynthesis仮説を先に提唱した。これを証明するために、3つのKRドメイン(LkcC-KR, LkcF-KR1,2)の活性中心にあるSerをAlaに、TyrをPheに置換した6種類の変異株を作製したが、これまでに期待した代謝中間体は得られていない。その原因を探るためlkcFとlkcGを融合させたところ、LCは正常に生産された。この結果は、両遺伝子が繰り返し反応に関与していないことを示唆した。また、lkcクラスターを2つに分けてlkcA-EをS.lividans染色体に組み込み、lkcF-Oをプラスミドに乗せて導入したところ、LCを生産した。これはlkcクラスターがLC生合成に必要な全ての遺伝子を備えていることを示した。これらのデータはいずれもLkcCが繰り返し使われるという私たちの仮説を支持する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] γ-Butyrolactone autoregulator-receptor system involved in lankacidin and lankamycin production and morphological differentiation in Streptomyces rochei2007

    • 著者名/発表者名
      Arakawa, K., Mochizuki, S., Yamada, K., Noma, T., Kinashi, H.
    • 雑誌名

      Microbiology 153(in press)

  • [雑誌論文] Streptomyces linear plasmids : their discovery, functions, interactions with other replicons, and evolutionary significance2007

    • 著者名/発表者名
      Chater, K.F., Kinashi, H.
    • 雑誌名

      Microbiology Monographs, Microbial Linear Plasmids(ed. by Meinhardt, F., and Klassen, R.)(Springer Berlin/Heidelberg) (in press)

  • [雑誌論文] Analysis of the loading and hydroxylation steps of lankamycin biosynthesis in Streptomyces rochei2006

    • 著者名/発表者名
      Arakawa, K., Kodama, K., Tatsuno, S., Ide, S., Kinashi, H.
    • 雑誌名

      Antimicrobial Agents and Chemotherapy 50

      ページ: 1946-1952

  • [産業財産権] 遺伝子破壊による抗生物質生産微生物の生産方法およびこれを用いて得られる抗生物質生産微生物、並びに抗生物質代謝中間体の生産方法2006

    • 発明者名
      木梨陽康, 荒川賢治
    • 権利者名
      国立大学法人広島大学
    • 産業財産権番号
      特願2006-060280
    • 出願年月日
      2006-03-09

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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