研究課題
(1)二次代謝制御カスケードの解析線状プラスミドpSLA2-L上にコードされた多くの制御遺伝子によって構成される制御カスケードの詳細な解析を行った。SrrA蛋白の結合領域を検索し、srrX,srrY,srrWの3つの制御遺伝子のpromoter領域を取得した。gel retardationによってSrrAとsrrYの結合を確かめ、foot printingによってsrrYのプロモーター領域にSrrAの結合サイトを同定した。そこには26-bpのパリンドローム配列が見つかり、ArpAを初めとするr-butyrolactone(GB)リセプター蛋白の結合配列とよく似ていた。野生株のGB画分はSrrAのsrrYプロモーターへの結合を乖離させたが、△srrX変異株の画分は活性がなく、またリガンド結合に必須なTrp残基をAlaに代えたArp^<W119A>はGBを添加しても乖離しなかった。こうして、srrX→srrA→srrYの中心的なシグナル伝達経路を分子レベルで証明した。(2)ランカサイジンの生合成機構の解析ランカサイジン隼合成(lkc)クラスターをlkcA-EとlkcF-Oの2つに分け、前者をS.lividansの染色体に組み込み、後者をプラスミド上にのせて導入した株はランカサイジノールAを生産した。この結果は、lkcクラスターが骨格合成に必要な全ての遺伝子を含むことを示した。私たちは先にランカサイジンのモジュラー・反復混合生合成仮説を提唱したが、lkcAは骨格形成を開始するNRPS-PKS融合遺伝子であり、lkcGは伸長反応を終結する遺伝子なので、繰り返し反応の候補から除外できる。lkcF-G融合株を作製したところ親株と同量のLCを生産したので、lkcFも候補から除かれた。その結果、消去法によって、lkcCが4回繰り返して縮合反応することが示唆された。(3)pSLA2-Mの全塩基配列決寅と胞子形成機構の解析pSLA2-Mのコスミド・ライブラリーを作製し、両末端は別個にクローン化して、全ての領域をカバーするクローンを得た。これらのクローンを用いてpSLA2-Mの全塩基配列を決定中であり、両末端には352bpの末端逆位配列(TlR)が見つかった。しかし、両者の相同性は91%と低かったので、左右のTlR間に相同組み換えによるhomogenizationが起きていないことが示唆された。
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http://home.hiroshima-u.ac.jp/mbiotech/hosenkin_lab/hosen_lab.html