研究課題/領域番号 |
18018029
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
桑原 知巳 徳島大学, 大学院・ヘルスパイオサイエンス研究部, 准教授 (60263810)
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研究分担者 |
中山 治之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80294669)
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キーワード | Bacteroides / 表層抗原性 / DNA逆位 / Recominase / 莢膜多糖 / 外膜蛋白質 / 腸管 / 定着 |
研究概要 |
ヒト大腸常在菌であるBacteroides fragilisのゲノム上に存在するinvertible領域のうち、Class I領域は莢膜多糖、II、III、IVおよびVI領域は外膜蛋白質の発現制御に関わっている。昨年度の研究においてClassIV領域のDNA inversionに関与するtyrosine recombinase遺伝子(BF2766)を同定し、この領域が本菌種におけるouter membrane vesicleの形成に関与することを明らかにした。本年度はClass II領域のDNA inversionを制御するrecombinase遺伝子を同定するため、候補遺伝子の破壊株を作成し、Class II領域のDNA inversionが消失する変異株を検索した。その結果、Class V領域の外膜蛋白質SusC/Dshufflon内部に存在するtyrosine recombinase遺伝子(BF0667)の変異株において、10箇所全てのClassII領域でのDNA inversionの消失もしくは逆位頻度の減少が認められた。この変異株にBF0667をプラスミドで相補するとClass II領域におけるDNA inversionが回復したことから、BF0667はグローバルにClass II領域のDNA inversionを制御するtyrosine recombinaseをコードしていると考えられた。さらにBF0667欠損変異株においては外膜蛋白質SusC/DshufflonであるClass VおよびVI領域においてもDNA inversionが消失していた。この結果、BF0667がClass II領域のみならず、他の2箇所の外膜蛋白質SusC/D sbufflonのDNA inversionをも包括的に制御しており、BF0667は配列認識特異性の低いユニークなsite-specificrecombinaseをコードしていると考えられた。さらに、BF0667の欠損変異株を野生株と1対1の菌数になるように混合後、無菌マウスに経口接種し、糞便内での残存率を比較した。その結果、BF0667欠損変異株の糞便内生菌数は野生株の約1%であり、BF0667によるこれら領域の発現制御が腸管への定着に重要な役割を果たしていると考えられる。
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