研究課題/領域番号 |
18018039
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田村 和朗 近畿大学, 理工学部, 教授 (20278823)
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研究分担者 |
山村 武平 兵庫医科大学, 医学部, 病院長 (90068510)
宮本 正喜 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50200209)
冨田 尚裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00252643)
渡邉 聡明 帝京大学, 医学部, 教授 (80210920)
武田 祐子 慶應大学, 看護医療学部, 教授 (80164903)
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キーワード | 家族性腫瘍 / 遺伝子医療 / ゲノム情報 / 情報ネットワーク / 患者家系支援 |
研究概要 |
家族性腫瘍対策「癌」と「遺伝」という二つの大きな課題を見据えながら行う必要があある。その診療システムを構築するにあたり、必要と考えられる6課題を抽出し、平成18年度に引き続き研究を進めた。その課題とは(1)家系情報、臨床情報、病理学的情報の収集と活用、(2)ゲノム解析の精度向上と迅速化、(3)新しい遺伝子診療システムの構築と癌対策、(4)広域的遺伝情報ネットワークと次世代への対応、(5)患者家系支援、遺伝的知識の啓発および人材育成支援であり、どれも重要で欠かせないと考えられるが、この項では特に(2)と(5)の課題に関して報告する。 課題(2)に関して:遺伝性大腸癌は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)などポリポーシス症候群と遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)が含まれるが、いずれも大腸癌のハイリスク群であり、遺伝子診断を基に癌の二次予防が期待されている。しかし3年前まで、その検出率は60-70%にとどまっており、臨床応用に一縷の不安があった。FAP例に関して本研究で責任遺伝子のすべての翻訳領域解析やMLPA法などゲノム再構成スクリーニング法など、現在可能な解析法を駆使することで検出率を90%まで向上できることを明らかにすることができた。また、若年性ポリポーシスなどの稀な症候群の解析を行い、臨床応用への道を開くことができた。一方、HNPCC例の腫瘍の特性である、高い複製エラーを基にメチレーションとの関連も明らかにし、腫瘍発生機序の一端を明らかにすることができた。 課題(5):医療関係者および社会一般に癌対策に遺伝的背景を考慮することが重要であることを啓発する目的で研究成果報告冊子「家族性腫瘍」を編集した。また、医療従事者を対象に行った第10回家族性腫瘍カウンセラー養成セミナーに用いる教材作成に貢献できる内容を提供した。
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