研究課題/領域番号 |
18018042
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
大平 美紀 千葉県がんセンター(研究所), ゲノムセンター, 室長 (20311384)
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研究分担者 |
磯貝 恵理子 千葉県がんセンター(研究所), ゲノムセンター, 上席研究員 (40300917)
中川原 章 千葉県がんセンター(研究所), 研究局, 研究局長 (50117181)
大羽 成征 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (80362838)
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キーワード | 発生・分化 / マイクロアレイ / 遺伝子 / ゲノム |
研究概要 |
神経・肝の発生分化における遺伝子発現ネットワークの解明と、神経芽腫・肝芽腫の発生および疾患メカニズムの解明を目指し、本年度は以下を進めた。 (1)小児癌チップに対する独自データベースの構築 これまでに同定してきた神経芽腫の予後の異なるサブセット間で発現量に差のある700個の遺伝子から、さらに重要なものを絞り込むため、小児癌チップを用いて、神経分化・細胞死の誘導時の発現プロファイルや、発現の組織特異性を検討し、データベース化した。本年度は、「神経分化型」、「シュワン型」、および幹細胞様といわれる「中間型」の3種類の神経芽腫細胞株の発現プロファイルを行い、データベースに追加した。 (2)遺伝子の絞り込みと機能解析 上記の3種の神経芽腫細胞株の間で特徴的な発現プロファイルを示した神経分泌タンパク質ファミリーを新たに同定し機能解析を行った。多検体の神経芽腫組織を用いた解析から、この遺伝子発現は、従来予後予測の困難であった中間予後群に対する新たな予後因子として、腫瘍組織由来RNAおよび血中タンパク質レベルの両方で応用可能であることが示された。 (3)臨床検体を用いた発現解析とチップの臨床応用 全国の臨床施設の協力のもと、当研究室にて開発した神経芽腫の予後診断チップの臨床における評価を進め、本年度はあらたに50症例について解析を行った。最終的な評価には数年のフォローアップが必要であるが、再発症例や死亡症例が、診断直後の腫瘍組織においても悪性の発現プロファイルを持っていたことから、本チップ解析の診断後早期の施行が、迅速な腫瘍層別化に有効であると期待された。 (4)遺伝子発現プロファイルの特徴抽出 神経芽腫症例の発現プロファイルデータにっいて、統計的手法を用いて神経発生・分化に関わるMASH1やMYCN等の転写因子群を中心とする発現クラスターを抽出し、Mash1の新たな転写制御機構を見いだした。本成果は神経芽腫細胞の増殖維持のメカニズム解明への一助となると期待される。
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