研究課題/領域番号 |
18018043
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
鈴木 幸一 国立感染症研究所, 生体防御部, 室長 (20206478)
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研究分担者 |
中田 登 国立感染症研究所, 病原微生物部, 研究員 (70237296)
石井 則久 国立感染症研究所, 生体防御部, 部長 (50159670)
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キーワード | ハンセン病 / 感染 / らい菌 / 遺伝子 / マイクロアレイ |
研究概要 |
らい菌は試験管内培養が出来ず、菌の機能研究を行うことが困難であることから、感染によるらい菌遺伝子発現変化を網羅的に評価する試みを行った。先ず、らい菌Thai53株ゲノム断片からDNAライブラリーを構築し、その中から、全ゲノムの98%以上をカバーする137クローンを選び、PVDF膜にスポットしてアレイを作製した。宿主であるマクロファージに感染前後のらい菌からmRNAを抽出し、逆転写してcDNAとした後にsubtraction法により感染前後に特異的に発現量が変化するmRNAをenrichした。これを33P-dCTPで標識してcDNAプローブとしてハイブリダイズさせた。発現量変化の大きいクローンを選び出し、8種類の制限酵素処理後、サザン法にてハイブリダイズしたDNA断片を得て、最終的に、らい菌において高レベルで発現し、かつ感染によって発現量が大きく変化した遺伝子を同定した。その結果、発現量の高い上位12個中6個が偽遺伝子由来のRNAであることが判明した。次いで、より分解能が高い方法としてタイリングアレイの応用を検討した。らい菌ゲノム塩基配列情報に基づいて、二本鎖双方向の全ゲノム領域をカバーするタイリングアレイを作製した。全長約3.3MBのらい菌ゲノムに対し、29merのプローブを18bp間隔(11bpの重複)で+鎖および-鎖に対してそれぞれ作製すると、約37万スポット搭載のアレイが作製できた(NimbleGene社製アレイ)。このようにして作製したタイリングアレイに対し、ヌードマウス足蹠で継代維持しているらい菌から調整したRNAを蛍光標識してハイブリダイズし、蛍光強度を測定することにより発現動態を評価した。その結果は、ヌードマウス足蹠で増菌させたらい菌由来のmRNAは分解の程度が強く、タイリングアレイで精度良いデータを得ることが容易ではないことが判明した。
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