研究課題/領域番号 |
18019004
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡村 信行 東北大学, 大学院医学系研究科, 助手 (40361076)
|
研究分担者 |
谷内 一彦 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50192787)
行場 次朗 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50142899)
船木 善仁 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助手 (50261491)
|
キーワード | PET / 老化 / 認知 / アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 |
研究概要 |
本研究の目的は、生体内のタンパク量や酵素活性、遺伝子発現レベルなどをin vivoで可視化する分子イメージング法を応用して、認知症において認知機能障害が発現する脳内生物学的基盤を明らかにすることである。そこで我々は、アミロイドβ蛋白やコリンエステラーゼの定量的イメージング、脳エネルギー代謝のイメージング、MRIによる形態学的イメージングに神経心理学的評価を加えて、一個体レベルで脳機能の多面的な解析を行った。健常高齢者に比べてアルツハイマー病患者では、大脳皮質の老人斑好発部位においてBF227の集積が全例で上昇していた。この集積上昇は、同領域におけるアミロイドβ蛋白の沈着を反映していると考えられた。軽度認知障害(MCI)の症例では、健常高齢者と同レベルの集積を示す症例と、アルツハイマー病患者と同様に大脳皮質領域で高値を示す症例が混在していた。さらにアルツハイマー病患者でBF227の結合が上昇している脳領域をSPM2ソフトウェアによって解析した結果、側頭-頭頂葉領域を中心とする大脳皮質の広範な領域が抽出された。この分布は、過去の病理学的研究で示されている成熟した老人斑の蓄積分布とよく一致していた。アルツハイマー病患者において、MRI画像から計測した脳萎縮率およびFDG-PETで測定された脳局所糖代謝率は認知機能レベルと相関したが、BF227集積量とは相関しなかった。この結果から、アルツハイマー病患者における認知機能障害は、神経細胞数の減少やシナプス活性の低下と深く関連するが、アミロイドβ蛋白蓄積との関連性は低いことが示唆された。
|