研究課題/領域番号 |
18019004
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡村 信行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40361076)
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研究分担者 |
谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
行場 次朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50142899)
船木 善仁 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 助教 (50261491)
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キーワード | PET / 老化 / 認知 / アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 |
研究概要 |
本研究では、アルツハイマー病において認知機能障害が発現する脳内生物学的基盤を明らかにすることを目的として、我々が開発したamyloid-beta蛋白の定量的イメージング([11C]BF-227-PET)、脳エネルギー代謝のイメージング([18F]FDG-PET)、MRIによる形態学的イメージングを行った。健常ボランティア、アルツハイマー病(AD)患者、軽度認知障害(MCI)の計46症例を対象とした。健常高齢者に比べてAD患者では、大脳皮質の老人斑好発部位において[11C]BF-227の集積がほぼ全例で上昇していた。MCIの症例では、大脳皮質領域で集積上昇を示す症例と健常高齢者と同レベルの集積を示す症例が混在していた。現時点でMCIからADへのコンバートが確認されている3症例では、初回検査時のBF-227集積値が全例で上昇していたが、FDG-PETで計測される脳糖代謝の変化は軽微であった。このことからamyloid-beta蛋白のイメージングは、FDG-PETを用いた脳糖代謝の計測に比べてMCIからADへの進行予測に有用な指標であることが示唆される。また我々は、塩酸donepezil(アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬)を11Cで標識し、その投与後の脳内分布をPETにより計測した。脳内における[11C]donepezilの分布容積(DV)は、線条体で最も高く、視床、小脳がこれに次ぎ、前頭葉・側頭葉・頭頂葉などの大脳皮質では中等度であった。また健常高齢者に比べてAD患者では、大脳皮質、海馬領域を中心に、18%〜30%のDV低下を認めた。さらに海馬におけるDV値は、AD患者の認知機能と有意に相関した。これらの結果から、AD患者では早期段階からAChEの濃度が低下しており、アセチルコリン系ニューロンの早期からの変性を反映していると考えられた。
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