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2006 年度 実績報告書

トリ層状核における両耳間時間差検出機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18019016
研究機関京都大学

研究代表者

久場 博司  京都大学, 医学研究科, 助手 (10362469)

キーワード神経科学 / 生理学 / 音源定位 / シナプス / 同時検出 / チャネル / 周波数
研究概要

音源定位は両耳に到達する音の時間差(ITD)を手がかりとして行われ,トリでは層状核(NL)神経細胞が両耳からのシナプス入力の同時検出器として働くことにより実現される.ITDの検出は音の周波数毎に異なる神経回路により行われ,その精度は各周波数領域で非常に高いことが知られている.本研究ではNL細胞の特性を特徴周波数(CF)毎に調べることにより,各周波数領域で正確なITDの検出を可能にする神経機構を明らかにする.本年度は以下のことを明らかにした.
NLの高いCF領域の細胞では,活動電位が小さく,かつ細胞体膜からNa電流が記録されないことから,活動電位が細胞体から電気的に離れた軸索上で発生していると考えられる.そこで,免疫染色によりNaチャネルの分布を調べたところ,高いCF領域の細胞ほどNaチャネルは細胞体から離れた軸索上に短く集積していた.これらの所見は高いCF領域の細胞ほど活動電位が軸索上の細胞体から離れた場所で発生することを示している.さらに,NEURONを用いてNL細胞の活動電位発生部位がCF領域に応じて異なることの機能的意義を検討した結果,この違いは各CF領域の細胞が安定して発火しITDを正確に検出する上で重要であることを明らかにした.特に高いCF領域の細胞は高頻度のシナプス入力を受けるため,シナプス入力の時間的加重により細胞体で大きな持続的脱分極を生じる.この脱分極は軸索のNaチャネルを不活性化し,細胞の興奮性を減少する.このため高いCF領域の細胞は活動電位の発生部位を細胞体から離し,持続的な脱分極を軸索で電気緊張性に減少することにより,高い興奮性と正確なITD検出を実現すると考えられた.今後さらに,ダイナミッククランプにより様々なパターンのシナプス入力が各CF領域の細胞の活動にどのような効果をもつのかを検討するとともに,高頻度シナプス入力によるNaイオンの細胞内蓄積が細胞の興奮性に及ぼす効果についても検討する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Axonal site of spike initiation enhances auditory coincidence detection.2006

    • 著者名/発表者名
      Kuba, H., Ishii, T., Ohmori, H.
    • 雑誌名

      Nature 444・7122

      ページ: 1069

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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