研究概要 |
背景:線条体のニューロンのほとんどは投射型である事が知られており、その約半数は黒質や淡蒼球内節に出力し、他の半数は淡蒼球外節に出力する事が知られている。また、近年我々はそれら2つの投射系に加えて大脳基底部に出力する第3の投射系の存在について明らかにした。一方入力に関しては、線条体は大脳皮質および視床から興奮性の入力を受けており、基底核群の入り口として機能しているといえる。しかし、3つの投射ニューロン群に対してどのように入力していくのか明らかになっていない。 目的:一つ一つの線条体ニューロンに対して大脳皮質及び視床由来の興奮性入力がどのように入力するのかを調べる。同定された線条体ニューロンの樹状突起の近位部と遠位部あるいは棘の先端と根本といったことに注目して入力部位を数え、定量的に記載する。 方法:薄めたウイルス液を線条体に注入し、単一のニューロンが区別できる密度でニューロンをゴルジ染色様に標識する。GFPで標識されたニューロンがneurokinin B、dynorphin、enkephalinのいずれを発現するニューロンであるかを免疫染色によって分類する。Vesicular Glutamate Transporter 1,2に対する免疫染色を行い、入力神経終末とGFPで標識されたニューロンの樹状突起を高倍率で共焦点レーザー顕微鏡を用いて撮影し、3次元再構築する。樹状突起に対する興奮性神経終末の近接する数を数えて定量的な所見とする。さらに、レーザー顕微鏡によって近接していると判断された樹状突起と神経終末の関係が実際のシナプス結合を持っているかを知るために、部分的に電子顕微鏡観察に持ち込んで解析する。 結果:VGluT1及びVGluT2陽性神経終末が線条体ニューロンの樹状突起に接している密度はdynorphinニューロンとenkephalinニューロンの間で差が無かった。細胞体から離れるにしたがって近接神経終末の密度が下がる傾向があった(dynorphinとVGlut2の組み合わせを除く)。
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