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2007 年度 実績報告書

視覚認知・記憶に関連するサル下側頭葉の分子的基盤の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18020032
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

一戸 紀孝  理化学研究所, 脳皮質機能構造研究チーム, 副チームリーダー (00250598)

キーワード大脳皮質 / 連合野 / 記憶 / 下側頭葉 / 遺伝子発現
研究概要

サルの下側頭皮質は物体認知に関わる腹側視覚経路の最終段階に位置すると考えられている。下側頭皮質には、二つの細胞構築学的に異なる領域が区別され、ひとつは外側にあるTE野で、もう一つは内側にある周嗅皮質(PRh)である。TE野とPRhは、互いに密な連絡を持つがそれぞれ異なった機能への関与が考えられている。すなわち、TE野がより外界の即時情報の解析、PRhがより再認記憶、意味記憶、連合記憶などの記憶への機能が想定されている。大脳皮質の各領野の機能の違いは、線維連絡の違い、その局所回路の違い等によると考えられるが、それぞれの領野における分子構成の違いよる寄与も大きいと考えられる。我々は、上記の二つの機能に関与すると考えられているサル下側頭皮質の2領域さらに階層的に低いと考えられる初期視覚野V4の遺伝子発現の違いをGeneChipを用いて網羅的に調べた。その結果、PRhにおいて強く発現している遺伝子の中には、可塑性に関与していると考えられる遺伝子が多く見られることがわかった。この中には、成長因子とその受容体、棘突起の運動に関連すると考えられるactinやtubulin関連遺伝子、その関連シグナル伝達系が含まれる。また、近年、同様にgenechipを用いた方法でマウス視覚野のcritical periodに関連すると考えられている遺伝子との共通性も強いことが分かり、これらの遺伝子はPRhにおいて想定されている高い連合能力に関与しているかもしれない。また、アルツハイマー病の神経細胞死に関与する遺伝子・Parkinson病に関与する遺伝子が多数がPRhにおいて高く発現しており、このことは、アルツハイマー病・Parkinson病の病変がPRh周囲から始まることを考えると興味深いと思われる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Comparative Analysis of Layer-Specific Genes in Mammalian Neocortex2007

    • 著者名/発表者名
      Watakabe A, Ichinohe N, Ohsawa S, Hashikawa T, Komatsu Y, Rockland KS, Yamamori T
    • 雑誌名

      Cerebral Cortex 7

      ページ: 1919-1933

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Differential modes of termination of amygdalothalamic and amygdalocort ical projection2007

    • 著者名/発表者名
      Miyashita A, Ichinohe N, Rockland KS
    • 雑誌名

      Journal of Comparative Neurology 502

      ページ: 309-324

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Unusual Patch Matrix Organization in the Retrosplenial Cortex of the reeler Mouse2007

    • 著者名/発表者名
      Ichinohe N, Knight A, Ogawa M, Ohshima T, Mikoshiba K, Yoshihara Y, Terashima T, Rockland KS.
    • 雑誌名

      Cerebral Cortex (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] Gene expression profiles in two areas of monkey temporal cortex2007

    • 著者名/発表者名
      Ichinohe N, Wintzer M, Miyashita T, Rockland KS
    • 学会等名
      日本神経科学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20070900

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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