研究課題
樹状突起スパインの蛋白組成はシャフト部とは大きく異なっており、スパインは独特な選択的蛋白集積機構を持つと考えられる。我々はこれまでの研究で、神経細胞特異的アクチン結合蛋白ドレブリンAのシナプス後部への集積がアクチンフィラメント、Homer、PSD-95等のスパイン機能に重要な分子の集積を促進するばかりでなく、NMDA受容体集積の恒常性維持的可塑性に必要なことを示した。本研究では、これらの現象に関わる分子の全体像を解明するために、yeast two hybridシステムを用いてドレブリン結合蛋白の探索を行った。平成19年度の研究で、ドレブリンA分子のN末端には、既知のリン酸化酵素および新規蛋白スパイカー結合することが判った。リン酸化酵素に関しては、myc標識リン酸化酵素とHA標識ドレブリンAを線維芽細胞および初代培養神経細胞に発現させると共局在した。また、抗体用いて神経細胞を二重染色するとスパインでの共局在像が得られた。さらに、myc標識リン酸化酵素とHA標識ドレブリンAを線維芽細胞に共発現させてから、その抽出液をHA抗体で免疫沈降すると、myc標識リン酸化酵素が共沈した。以上より、ドレブリンAと当該リン酸化酵素はスパインで直接結合していることがわかり、スパインでのカルシウム依存的細胞骨格構築変化メカニズムの一端をになう可能性が示唆された。一方、新規蛋白スパイカーに関しては、(1)スパイカーの核外における分布はドレブリン依存的である。(2)スパイカーはドレブリン非依存性のスパイン局在配列を持つ。(3)スパイカーは核移行シグナル(NLS)と核外移行シグナル(NES)を持つ。(4)スパイカーをノックダウンするとスパイン密度が減少することが示唆された。
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