研究課題
δ2グルタミン酸受容体がグルタミン酸受容体で活性化されるのか?さらに、イオンチャネルとして働いているのか?はこれまで不明であった。δ2グルタミン酸受容体はイオン透過型グルタミン酸受容体に分類されるものの、実際は他のイオン透過型グルタミン酸受容体とは全く異なる活性化様式をもち、イオンチャネルとしても働いていないことを明らかにした。イオン透過型グルタミン酸受容体は4つの膜貫通ドメイン(TM1〜TM4;正確にはTM2は細胞膜を貫通はしない)をもつ。アミノ末端からTM1まで、及びTM3とTM4の間のループ領域は細胞外に、カルボキシル末端領域(C-terminal domain, CTD)は細胞内に存在する。グルタミン酸やグリシンなどのアゴニストは、細胞外に存在しバクテリアのアミノ酸結合タンパク質(LAOBP)と高い相同性をもつS1、S2ドメインに結合する。S1、S2ドメインはδ2グルタミン酸受容体を含むすべてのイオン透過型グルタミン酸受容体サブユニットで高い相同性をもつ。とくにリガンド結合に重要なアミノ酸残基はサブユニット間で非常によく保存されている。S1ドメインのさらにアミノ末端側にはサブユニット間で相同性が低いN-terminal domain(NTD)が存在する。本研究では、S1ドメインからS2ドメインまですべて欠損するコンストラクト、すなわちNTD-TM4-CTDを作製し、レンチウイルスベクターを用いて生後6日のδ2グルタミン酸受容体欠損マウスのプルキンエ細胞に発現させた。その結果、δ2グルタミン酸受容体欠損マウスで見られる異常(運動失調やLTD)がレスキューされた。この結果は、δ2グルタミン酸受容体の機能発現様式は他のサブユニットと全く異なり、さらに機能発現にはイオンチャネル構造も不要であることを明瞭に示している。
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EMBO Reports (In press)
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