研究課題/領域番号 |
18021015
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
福田 敦夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50254272)
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研究分担者 |
岡部 明仁 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10313941)
熊田 竜郎 浜松医科大学, 医学部, 助手 (00402339)
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キーワード | クロライドトランスポーター / 皮質板細胞 / 大脳皮質 / 細胞移動 / GABA / タウリン / 国際情報交換 / ドイツ |
研究概要 |
1.GABA_A受容体阻害剤の胎仔脳室内慢性投与による細胞移動障害の解析[福田・岡部・熊田-Luhmann]: GAD67-GFP knock-inマウスホモ接合体を用いて胎生14日にインビボ電気穿孔法で胎仔の脳室帯の新生神経細胞特異的にHcRed遺伝子を導入し、PLGA(poly DL lactide-co-glycolide)microsphereに吸着させて徐放性処理したGABA_A受容体阻害剤を脳室内に導入し持続的に作用させた。3日後に脳スライスを作製し、radial移動中の皮質板細胞(HcRed蛍光)の移動状態を解析したところ、細胞外GABA濃度が野生型の10%しかないにもかかわらず、対照群では移動は全く正常であった。ところが、GABA_A受容体の持続ブロック群では皮質板に分布するradial移動細胞の割合が有意に増加し、移動速度の増加が示唆された。このことからGABA以外の内在性GABA_A受容体アゴニストの存在が示唆された。 2.胎仔脳内タウリン合成阻害による細胞移動障害の解析[福田・岡部・Luhmann]: タウリンが内因性GABA_A受容体アゴニストであることを証明するため、12時間毎に3日間連続でD-システインスルフィン酸(15mmol/kg)を母体腹腔内に投与してタウリンの合成を阻害したところ、HPLC法で測定した細胞外タウリン濃度は約50%減少していた。3日後のradial移動はタウリン減少群において皮質板に分布する移動細胞の割合が有意に増加していた。このことから、発達期大脳皮質において、細胞外に存在するGABAと母体由来のタウリンはGABA_A受容体に作用し、協調的に脳室下帯から皮質板への放射方向の細胞移動を抑制していると考えられた。事実、タウリンの分布も特徴的で、辺縁帯と脳室下帯にきわめて高濃度に存在していた。このことは母体由来タウリンが皮質層構造形成に重要な部位に取り込まれ、細胞移動を調節して正常な皮質層構造の形成に関わることを示唆している。
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