研究課題
カテプシンBとL、カテプシンDとL、およびBとDのダブルノックアウトマウスは平均的に生後14日前後まで生存するが、中には20日近くまで生存するものもあった。これら3系統のダブルノックアウトマウスは中枢神経系においてカテプシンD単独欠損マウスと同様リソソーム蓄積症様の神経病理学的所見を呈した。また、これら3系統はD単独欠損マウスの所見に加え、軸索の変性がより顕著で、脳梁におけるspheroid様構造の著名な集積が早期より認められた。また、細胞内の封入体の種類を比較したところ、D単独欠損マウスで認められたミエリン様に層状化した膜をもつ小体がカテプシンBとLでは認められない一方、両者とも神経性セロイドリポフスチン蓄積症の特徴であるミトコンドリア内膜のサブユニットc蛋白の蓄積が認められることが明らかとなった。カテプシンDとL、およびBとDのダブルノックアウトマウスはD単独欠損マウスと同様網膜変性像が観察されたが、少なくとも生後14日の時点のカテプシンBとL欠損マウスでは網膜変性像を認めなかった。更に、生後10日過ぎにおいて、カテプシンDとLのダブルノックアウトマウスにおいてのみ海馬の欠損あるいは低形成となる傾向がしばしば認められた。之れは、クロライドチャネルCLC-3欠損マウスの海馬で認められた所見と類似していた。これらのダブルノックアウトマウスにおける所見の差異は、カテプシンD、B、Lの基質特異性の差によることが考えられ、現在最も所見が多く認められるカテプシンDとLのダブルノックアウトマウスと対照群のマウスの生後10日過ぎの全脳組織を用いて二次元電気泳動を行なったところ、カテプシンDとLのダブルノックアウトマウスにおいてのみ明らかに増加しているスポットが数カ所確認された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
Nature 441巻15号
ページ: 880-884
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