研究課題
我々はラット大脳運動感覚皮質と脊髄のスライスを共培養することにより皮質脊髄投射をin vitroで再構築し、皮質脊髄シナプスが当初(6-7 DIV)脊髄全体に形成されるが、後に(-11 DIV)胆側のシナプスが除去されること、このシナプス除去はNMDA依存的であり、軸南側枝の除去を伴っていることを示した。同様のシナプス除去、軸索撤退がin vivoラットにおいても生じていることも示した。また、このシナプス除去の後に、神経支配の第二波ともいうべき、最初の神経支配より更に大きい軸索の増生かあることを見出している。今年度、我々は、遺伝子改変動物を用いるため、マウス由来のin vitroスライス培養系を導入し、この系でも基本的に同様の時間経過をもった可塑的シナプス形成があることを確認した。更に、NMDA阻害剤APVのみならず、GluRε2(2B)特異的阻害剤によってシナプス除去が阻害されることから、NMDA受容体のうち、このタイプの受容体が重要であることを確認した。そこで、GluRε2KOマウス(東大薬理・三品教授から分与)と野生型(WT)マウス由来のスライスを用いて培養すると、皮質(KO)一脊髄(WT)の組合せではシナプス除去が生じるが、皮質(WT)一脊髄(KO)の組合せではシナプス除去が生ぜず、皮質ではなく、脊髄におけるGluRε2が本質的に重要であることが示唆された。in vivoラットにおける神経支配の第二波について、定量的な順行性標識を行い、P13頃から始まり、P18頃にはほぼプラトーに達しすることがわかった。単一二ューロン軸索のトレーシングを行って第一波と第二波の軸索の変化を比較すると、第二波は脊髄内分枝の増加によることが示唆された。また、P7、P10、P15のラットの脊髄急性スライスで、膜電位感受性色素によって皮質脊髄シナプス応答を調べた。P7からP10にかけ、腹側のシナプス応答が減弱して、胆側からのシナプス除去が裏づけられた。またP10からP15にかけて再度胆側のシナプス応答が強まり、また背側のシナプス応答も更に増大し、第二波の軸索増生かシナプス増生を伴っていることが示された。
すべて 2007 2006
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