研究課題
我々は、RGMが成体ラットの脊髄損傷後に損傷周囲において発現上昇し、RGMの機能を抑制することで、in vivoにおいて損傷した軸索の著明な再生が誘導されることを見いだした。本研究では、軸索再生と細胞死の分子メカニズム、すなわち神経細胞上の受容体により惹起される細胞内シグナル伝達について解析を進めた。RGMで小脳顆粒細胞を刺激すると、RhoAが活性化され、神経突起の伸展が抑制された。RGMの神経細胞上の受容体はneogeninであるが、リガンド依存性にneogeninとRhoGDIは結合し、またこの時RhoAとneogeninの結合は認められなかった。このことから、neogeninはRhoGDI1 dissociatorとして働き、RhoAの活性化を担っていることが示唆された。またneogeninとUnc5Hがリガンド非依存性に結合し、リガンド刺激により両者の結合が抑制されることも明らかになった。Unc5Hの過剰発現により、RGMによるRhoAの活性化は消失した。以上の結果よりneogeninはリガンド依存性にRhoAを活性化し、Unc5Hはそのシグナルのサイレンサーとして働くと考えられる。これまでの報告から、neogeninはリガンド非依存性に細胞死の制御に関わっていることが示唆されている。我々は293細胞を用いて、シグナルの探索を行った。その結果、neogeninは過剰発現によってRac1およびJNKを活性化し、細胞死を増加させた。JNKの活性化はRac1依存性であることがわかり、Rac1-JNK-細胞死というシグナルカスケードが示された。さらに当該シグナルはRGMによって抑制された。以上の結果より、脊髄損傷の後にグリア細胞においてRGMの発現が、神経細胞においてneogeninの発現が上昇するが、これらが神経細胞死の制御に関与していることが示唆された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
J. Cell Biol. 173
ページ: 47-58
J. Biol. Chem. 281
ページ: 15970-15979