研究課題
我々は、形成期の大脳皮質脳室帯に発現する新規分子FILIPを同定した。FILIPはフィラミンAの分解を促進する。そしてFILIPとフィラミンAは大脳皮質脳室帯からの移動開始および移動途中の細胞制御に関わり、大脳皮質形成に重要な役割を担う。本研究では、大脳皮質におけるFILIPのさらなる機能解明を、FILIPノックアウトマウスの変異とその表現型を示す仕組みの解析も含め進める。実験(1)FILIPの新たな機能解明FILIPに結合する分子の検索をTOF-MAS法により行い、新たに凝集体形成に関わる分子、細胞骨格調節に関わる分子を同定した。さらに、FILIPの結合相手の一つであるフィラミンに結合する分子とFILIPとの結合の有無を検討した所、幾つかの分子で新たにFILIPと結合することが判明した。実験(2)FILIPノックアウトマウスにおける大脳皮質2-3層の細胞配置の異常の検討FILIPノックアウトマウスで実際にどのように細胞が移動するのか検討し、この細胞配置の乱れが大脳皮質の機能にどのように影響するか、行動学的な解析と、スライス標本にて大脳皮質内のシグナルの伝播の変化の有無の観察を行った。行動学的には顕著な異常を見いだせなかった。但し、筋力の減弱を示唆するデータは得られた。またスライス標本については、電位感受性色素を用いて、詳細な検討を行った。生後数週齢のマウスより大脳皮質視覚野を切り出し、視床からの入力繊維を含む、白質を刺激し、大脳皮質2〜3層での電位の伝播の様子を検討した。FILIPノックアウトマウスでは、神経活動の減弱が観察された。なお、行動学的解析は藤田保健衛生大学(京都大学)の宮川 剛先生、電位感受性色素での検討は福井大学工学系研究科池田 弘先生のグループとの共同研究として実施した。
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Neurosci. Res. 60
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