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2007 年度 実績報告書

反射性眼球運動を用いるシナプス機能制御分子の生体でのはたらきの解析

研究課題

研究課題/領域番号 18022021
研究機関京都大学

研究代表者

平野 丈夫  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50181178)

キーワードシナプス / ミュータントマウス / 視運動性眼球運動 / 前庭動眼反射 / プルキン細胞 / 運動学習 / 小脳 / グルタミン酸受容体
研究概要

生体分子が運動制御・運動学習において果たす役割を、神経回路レベルで検討するために、マウス反射性眼球運動計測と神経活動記録を行った。運動時の視野のブレを抑える反射である視運動性眼球運動と前庭動眼反射に注目した。これらの反射性眼球運動制御の神経回路は比較的単純であり、感覚入力・運動出力とそれらを仲介する神経細胞の活動を定量的に関係付けて解析することが可能である。また、これらの反射は状況に応じて反応の大きさ・タイミングが適応的に変化し、こうした適応現象は運動学習のモデルとされている。小脳は反射性眼球運動を仲介する脳幹の神経回路での情報伝達を制御し、適応にかかわる。こうしたことから、反射性眼球運動は、小脳で働く機能分子が、神経細胞活動制御においてどのような役割を担い、それが動物個体の運動制御や運動学習において、いかなる役割を果たすかを、解析するための優れたモデルシステムになると期待される。小脳のシナプス可塑性に必要で運動学習にも関与するイオン透過型グルタミン酸受容体δ2サブユニットと結合する蛋白質であるデルフィリン分子を欠損したミュータントマウスについて研究を行い、平行線維・プルキンエ細胞間シナプスで長期抑圧が起こりやすいが長期増強は野生型マウスと変わらないこと、視運動性眼球運動の適応はより早く起こるが前庭動眼反射の適応は野生型マウスと比較して亢進していないこと、が判明した。これらの結果から、デルフィリンマウスでは、長期抑圧が起こりやすくなったために、視運動性眼球運動の適応が促進したことが推測され、長期抑圧の運動学習への寄与が支持された。しかしながら、長期抑圧が起こりやすくなることの運動学習への影響は、課題依存的であることも明らかになった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 小脳シナプス可塑性と運動学習2008

    • 著者名/発表者名
      平野丈夫
    • 雑誌名

      蛋白質 核酸 酵素 53

      ページ: 549-554

  • [雑誌論文] Conditioned eyeblink learning is formed and stored without cerebellar granule cell transmission2007

    • 著者名/発表者名
      Wada, N., et. al.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA 104

      ページ: 16690-16695

    • 査読あり
  • [学会発表] Regulation of synaptic transmission and motor learning.2008

    • 著者名/発表者名
      Hirano, T.
    • 学会等名
      International Symposium on Hierarchy and Holism: Bridging across Different Hierarchies in Natural Sciences
    • 発表場所
      Okazaki, Aichi
    • 年月日
      2008-02-22
  • [学会発表] Motor control and learning mechanism revealed using mutant mice.2007

    • 著者名/発表者名
      Hirano, T.
    • 学会等名
      The 2nd MCCS (Molecular and Cellular Cognition Society) -Asia Symposium "Unraveling higher brain functions: recent progress with animal models II".
    • 発表場所
      Yokohama, Kanagawa
    • 年月日
      2007-09-09
  • [備考]

    • URL

      http://neurosci.biophys.kyoto-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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