研究課題/領域番号 |
18022028
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
稲垣 直之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (20223216)
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研究分担者 |
島田 忠之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (80379552)
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キーワード | 軸索 / 樹状突起 / 極性 / Singar / 神経回路 / プロテオミクス / 神経細胞 / PI 3-kinase |
研究概要 |
神経細胞は1本の軸索と複数の樹状突起を有し神経極性を形成する。しかしながら、神経細胞が極性形成の過程でいかにして1本のみの軸索を形成しそれを維持することができるのか、その分子メカニズムはわかっていない。本研究では、我々が最近同定した新規脳特異タンパク質の機能と分子メカニズムを解析することにより、「神経細胞が、発生の過程でいかにして確実に1本の軸索を形成することができるのか」という問題の解明を目指す。 我々は、高感度2次元電気泳動法を用いた大規模なプロテオーム解析により、ラット培養海馬神経細胞の極性形成に伴って発現の変動が見られるタンパク質群を同定し、その中に新規の脳特異タンパク質趣Single Axon Related(Singar)を見出した。イムノブロットにより組織発現を調べたところ、Singarは脳特異的に発現していた。また、細胞内局在を免疫染色で調べたところ、Singarは軸索にも樹状突起にも存在していた。興味深いことに、神経極性形成過程の培養海馬神経細胞のSingarをRNAiで発現抑制すると過剰な軸索が形成された。我々はこれまでにShootin1という新規タンパク質を神経細胞に過剰に発現すると過剰軸索が形成されることを見出しているが、Singarを過剰発現した場合はShootin1による過剰軸索の形成が抑制された。しかしながら、Singarの過剰発現は正常な(1本の)軸索形成には影響を与えなかった。さらにSingarによる過剰軸索抑制作用の分子メカニズムを調べるために相互作用分子を探索したところ、SingarがPI 3-kinaseのp85およびp110サブユニットと相互作用をすることがわかった。また、Singarの発現抑制によって生じる過剰軸索の形成はPI 3-kinaseの阻害剤によって抑制された。 以上の結果から、SingarがおそらくPI 3-kinaseの上流で機能することにより、神経細胞の過剰な軸索の形成を抑制して正常な神経回路の形成・維持に重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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