研究概要 |
腫瘍細胞株を用いて解析した結果、2つの生理活性ペプチド(NERP-1とNERP-2)を同定した(JBC,2007)(国立循環器病センター研究所との共同研究)。同定したペプチドのアミノ酸配列に基づき、ラット組織よりペプチドをコードするcDNA配列を決定し、ペプチド前駆耐構造がNGFで誘導されるvgfであることを明らかにした。遺伝子操作技術、行動薬理学などに関するペプチドの網羅的解析法を構築し、NERPsの生理学的意義を明らかにしている。家兎に免疫して新規ペプチド特異的抗体を作製し、高感度RIA系を開発した。この定量系を用いて、NERPsの脳内濃度を検討した結果、海馬と視床下部に高い免疫活性を認めた。NERPsはグルタミン酸とGABAの分泌調節を介して、視床下部の室傍核と視索上核からのバゾプレシン分泌を抑制することを報告した。さらに細胞内情報伝達系の動態をhigh-through putで評価できるcell-based assay系を確立し、新規の神経ペプチドを4種類同定し、現在その機能解析を進めている。一方、脳アミロイドのシーズとなり得る難溶性ペプチドの網羅的解析を進めてきた。その結果、3種類のITM蛋白(integralmembrane protein2A,2B,2C)の細胞外C末端ペプチドが、ニューロンから分泌される難溶ペプチドあることを同定した。特にITM2B(遺伝子名としてはBRI)のC端が11残基延長した変異ペプチドは、familial British dementia(FBD)とfamilial Dannish dementia(FDD)の原因アミロイド蛋白として、非常に注目されている。申請者はすでにITM2A,2B,2CのC端難溶性ペプチド3種類に対する抗体を作製し、定量系の開発と免疫組織化学にも着手している。762文字
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