研究課題
膜輸送は全ての真核生物に普遍的な生命現象で、多細胞生物の脳神経系においては神経細胞間の情報伝達や神経回路網の形成に重要な役割を果たしている。当研究室ではこれまで色素異常や神経疾患の症状を示すヒト遺伝病タイプI型Griscelli症候群(原因遺伝子MYO5A)に焦点を当て、アクチン依存性モーター蛋白質ミオシンVaを介する膜輸送の分子メカニズムの解明に取り組んできた。メラノサイトにおいては、ミオシンVaは直接カーゴとなるメラノソームを認識するのではなく、Slac2-aと命名したミオシンVaカーゴ受容体を介して間接的にカーゴを認識すること、神経細胞においてはSlac2-aではなくSlac2-cと命名したホモログが豊富に発現し、主にミオシンVIIa(タイプIB型Usher症候群の原因遺伝子産物)受容体として機能することをこれまで明らかにしてきた。Slac2-cは低分子量G蛋白質Rab27を介して神経細胞やPC12細胞の分泌小胞上に発現することから、Slac2-cの分泌小胞輸送への関与が示唆されている。最近、微小管プラス端に濃縮する蛋白質の一つEB1がSlac2-aのカルボキシル末端側に結合し、メラノソームの微小管上の輸送とアクチン線維への受け渡しに関与することが報告された。Slac2-cのカルボキシル末端側はSlac2-aとも相同性が高く、Slac2-cも二つの細胞骨格系と相互作用することにより分泌小胞の輸送過程を制御する可能性が十分に考えられた。本年度はこの可能性を検証するため、Slac2-cがEB1と相互作用するのかを生化学的に検討した。しかしながら、予想に反してSlac2-cとEB1の結合は全く認められず、またPC12細胞内でも両者は共局在を示さないことが明らかとなった。従って、Slac2-cはSlac2-aとは異なる様式で微小管と相互作用するものと考えられた。
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