研究課題
高齢化社会で克服すべき問題の1つが認知症対策であり、特に老人認知症のアルツハイマー病(AD)ほ患者数が最も多い。しかしながら、ADの簡便な診断法は実用化されておちず、これが患者を見いだせずに進行を進ませてしまう原因の1つになっている。アルツハイマー病はAPPの連続する2回の切断によって生じるβ-アミロイド(Aβ)の産生が発症原因と考えられている。従って、Aβの量的・質的変化を捉えることができれば、患者を見いだすことが可能である。しかしながら髄液や血中のAβ量はその凝集性のために正確な定量・定性が困難である。神経細胞ではAPPは細胞内アダプター分子とり結合を介して膜タンパク質Alcadeinと複合体を形成しており、アダプター分子の解離により両タンパク質は協調的な代謝を受け、APPからAβ、Alcadeinからβ-Alcを生成する。我々は、まず細胞を用いた系で、Aβの量的・質的変化がβ-Alcの変化に反映しているかどうか検討した。その結果、Aβの量的・質的変化が現れる実験条件下で、β-Alcも変化することを見いだした。患者CSF中のβ-Alcの性質をTOF/TOF-MS解析したところ、健常人CSF中のものに比べて切断が多様化したβ-Alcを検出した。このことから、β-Alcの検出がAD患者を見いだす診断マーカーとなる可能性が考えられ、現在、より精度の高い検出方法を開発する目的で特異抗体の作製を行っている。
すべて 2006
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