研究課題/領域番号 |
18023002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
有賀 寛芳 北海道大学, 大学院薬学研究院, 教授 (20143505)
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研究分担者 |
有賀 早苗 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授 (90184283)
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キーワード | DJ-1 / パーキンソン病 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / チロシンヒドロキシラーゼ / 活性酸素 / 癌遺伝子 / 神経変性疾患治療薬 |
研究概要 |
我々が癌遺伝子として単離したDJ-1は家族性パーキンソン病(PARK7)の原因遺伝子でもある。パーキンソン病は酸化ストレス、ミトコンドリアのcomplex1の機能阻害、異常タンパク質の凝集が原因と考えられているが詳細な分子機構は明らかでなかった。我々は、DJ-1は転写調節、抗酸化ストレスプロテアーゼ、ミトコンドリアcomlex1の正の調節機能を有し、機能破綻はパーキンソン病などの脳神経変性疾患の原因となることを明らかとした。DJ-1は106番目のシステイン(C106)の酸化状態で活性が制御される。還元型は弱い活性で、C106がSO_2Hと酸化されることが漕性に必須であるが、SO_3H酸化されると不活性となる。孤発性パーキンソン病患者脳においては還元型DJ-1の欠如と異常な酸型DJ-1(不活性型)の存在を見出した。また、DJ-1は酸化ストレスより自己酸化され活性酸素の消及び転写因子として抗酸化ストレス関連遺伝子発現を行い、細胞死を防御する。更にドパミン生合成のキー酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)を転写レベル、及びDJ-1-TH相互作用を通じて活性上昇させた。 一方、パーキンソン病モデルラットにDJ-1タンパク質を直接注入すると、ドパミン神経細胞死と行動異常が劇的に阻止されることを明らかとした。更に、DJ-1の活性部位であるC106に結合し、酸化ストレス誘導神経細胞死を抑制する複数の低分子化合物を同定し、これらがDJ-1タンパク同様に神経細胞死と行動異常の解除を行うことをin vitro及びパーキンソン病モデルラットで明らかにした。これらの化合物は、血液脳関門を通過する。更に、我々は弧発性パーキンソン病患の症状に応じて、患者血清にDJ-1が分泌され、DJ-1がパーキンソン病の診断バイオマーカーになる可能性を示した。 以上より、DJ-1とその結合化合物は、神経細胞死を抑制することにより、パーキンソン病を始めとする神経変性疾患治療薬の可能性を示した。
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