研究課題/領域番号 |
18023017
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
嘉村 巧 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (40333455)
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研究分担者 |
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)
松本 雅記 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60380531)
三村 覚 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (60432233)
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キーワード | 神経変性疾患 / タンパク質分解 |
研究概要 |
ユビキチン・プロテアソーム系によるタンパク質分解が、ポリグルタミン病の病態へ関与していることが示唆されている。われわれはポリグルタミン病の一つであるMachado-Joseph病の原因遺伝子産物ataxin-3に対するユビキチン依存性分解酵素E4B(UFD2a)を同定し解析を進め、酵母two-hybrid法によりE4B結合タンパク質としてFEZ1を同定した。FEZ1は線虫の運動や神経軸索の束形成に関与していることが報告されているタンパク質UNC-76の哺乳類オルソログと考えられている。マウスにおいてFEZ1は脳に特異的に発現している。FEZ1がE4Bのユビキチン化の基質となる可能性を検討した結果、E4Bの過剰発現によりFEZ1のポリユビキチン化の亢進が認められ,それはPKCζによるリン酸化依存的であった。FEZ1上のポリユビキチン鎖を詳細に調べた結果、ユビキチン上のLys48ではなく、Lys27を介してポリユビキチン鎖形成が起きていることが判明した。このポリユビキチン鎖の役割を調べるために、E4B及びE4B(P1140A)変異体の安定発現PC12細胞株を作製したところ、NGF(nerve growth factor)やPKCζ-FEZ1依存的な神経細胞様突起の伸長がE4B(P1140A)発現細胞株において抑制された。ShRNAによりE4Bの発現を抑制するとNGFによる神経様突起形成の誘導が阻害されたことから、たしかにE4Bは突起形成に必要であることを見出した。以上より、E4BによるFEZ1のポリユビキチン化はユビキチン-プロテアソーム系による分解のための標識ではなく、神経様突起伸長のための機能修飾である可能性が示唆された。また、FEZ1コンディショナルノツクアウトマウスの作製を行い、現在解析を進めている。
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