研究課題/領域番号 |
18023020
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 良輔 京都大学, 医学研究科, 教授 (90216771)
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研究分担者 |
金子 鋭 財団法人田附興風会, 医学研究所第4研究部, 主任研究員 (70303815)
王 華芹 京都大学, 医学研究科, 助手 (50391884)
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キーワード | AR-JP / Parkin / ユビキチンリガーゼ / 小胞体ストレス / トランスジェニックマス / ドパミン / ミトコンドリア / 酸化的ストレス |
研究概要 |
常染色体劣性若年性パーキンソン病(AR-JP)の原因遺伝子産物Parkinは、ユビキチン・プロテアソーム経路のユビキチンリガーゼ(E3)の活性を持ち、AR-JPに見られる変異体ではE3活性が欠失または低下している。我々がParkinの基として同定した膜タンパク質Pael-Rはミスフォールドヒし小胞体ストレスによって神経変性を引き起こすと考えられる。この仮説に基づき、AR-JPモデルマウスを作出する目的で、Pael-Rトランスジェニックマウス(Pael-R-Tg)を作製した。Pael-R Tgでは軽度ながら、12ヶ月から選択的に黒質ドーパミンニューロンの脱落が認め、2年齢のマウスでは約-23%の減少が観察された。Pael-R Tgでは、線条体中のドーパミンレベルが増加する傾向を示し、DOPAC及びHVAレベルが有意に上昇した三更にparkinノックアウトマウス(parkin-KO)にPael-R過剰発現マウスを掛け合わせたところ上記の変化がPael-Rの量依存的に増強された。parkin-KO/Pael-R-Tgマウスでは6ヶ月からドーパミン神経細胞の減少が認められ、加齢に伴って細胞死の進行が観察された。ドーパミン細胞死は老齢(2年齢)のマウスで約40%に達した。持続的な小胞体ストレスのマーカー(BiRCHOPなど)上昇及びカルポニル化タンパク質など酸化的ストレス指標の増加が見られた。更に興味深いことに、18ヶ月齢以降でミトコンドリア複合体Iの特異的な活性低下が脳組織全般で特異的に低下していた。以上の結果から、Pael-R Tgマウスにおける変性は、小胞体ストレス、酸化的ストレスが相乗的に作用して引き起こされ、ミトコンドリアの複合体Iの活性低下が更に変性過程を加速するのではないかと考えられた。
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