研究課題
Mnd2(motor neuron degeneration2)は遺伝性の神経変性疾患モデルマウスで、アタキシア等の症状により生後20日程度で死亡する。神経細胞の脱落変性が疾患の原因である。mnd2マウスの疾患原因遺伝子はミトコンドリアのセリンプロテアーゼであるOmi/HtRA2である。Omiのミトコンドリアでの機能に関しては、これまで明らかにされていないが、(1)unfold proteinの処理を介してミトコンドリアストレスを回避している、(2)permeability transition(PT)を抑制している、等の可能性が報告されている。PTはサイクロフィリンD(CyPD)蛋白質の活性に依存してミトコンドリア膜の透過性を亢進させ、細胞死を惹起する現象である。実際、mnd2マウス由来のミトコンドリアはPTが惹起されやすく、CyPDのノックアウトマウスとmnd2マウスを交配したところ、mnd2マウスの部分的な症状回復が観察された。回復が完全ではない事より、mnd2マウスの発症にはPT以外のミトコンドリア機能も関与していると考えられた。そこで我々は、Omiのミトコンドリアでの役割を明確にするために、Mnd2マウスの線条体からミトコンドリアを単離し機能解析を行なうとともに、ミトコンドリア蛋白質の二次元電気泳動解析、mnd2細胞の機能解析を行なった。その結果、1、Omi欠損ミトコンドリアの呼吸能やATP産生能は正常ミトコンドリアと変わらなかった。2、Omi欠損ミトコンドリアでは、PTが誘導されやすかった。3、Omi欠損ミトコンドリアに特徴的な蛋白質を複数同定した。4、Omi欠損細胞では、ミトコンドリアストレスに対する応答が強かった。等の知見を得た。
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Apoptosis (印刷中)
神経変性疾患のサイエンス (印刷中)