研究課題/領域番号 |
18023038
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高島 明彦 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, チームリーダー (00154774)
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研究分担者 |
佐原 成彦 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, 副チームリーダー (40261185)
木村 哲也 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, 専門職研究員 (00415142)
福田 哲也 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, 研究員 (70316511)
吉池 裕二 独立行政法人理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, 研究員 (90415331)
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キーワード | アルツハイマー病 / 神経変性 / 神経原線維 / タウ / 老化 |
研究概要 |
神経原線維変化が形成される前のタウと脳機能の関係を調べるため前脳領域特異的なalpha CaMKIIプロモーター下で野生型4R2Nヒトタウタンパクを過剰発現するTgマウスを作製し、行動実験・MRI・免疫組織化学の手法によりTgマウスの加齢に伴う脳機能の変化を調べた。Tgマウスは内在性タウの3-5倍の発現を示したが、組織学的な検討から、高齢になっても神経脱落も神経原線維変化も示さないことが確認されている。このTgマウスは12ヶ月令では学習障害を示さなかったが老齢期(25ヶ月令)において運動機能障害なしにMorris water mazeによる場所(空間)学習課題における有意な障害が観察された。この実験からhippocampus/entorhinal cortexに異常が起きている可能性が示唆される。行動中のマウス脳活動を可視化するためMn-enhanced MRI法を用い空間学習時のマウスの脳活動パターンを測定した。その結果Tgマウスにおいてperirhinal及びentorhinal cortexの神経活動と加齢による学習能力の低下が有意に相関することが示された。リン酸化タウの免疫組織化学により、不活性化部位のニューロンで特異的にPHF1サイトがリン酸化されたタウタンパクの蓄積が見いだれた。これらのことから、野生型タウTgマウスの加齢に伴う学習障害はperirhinal cortexやentorhinal cortexにおける神経原線維変化形成や神経脱落ではなくタウ蛋白のリン酸化(PHF1サイト)が関与する可能性が示されたのである。このマウスモデルはヒト同様加齢に伴いentorhinal cortexにリン酸化タウが蓄積しentorhinal/hippocampus機能に障害を示すことから、ヒト脳老化を反映するマウスモデルと考えることが出来る。
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