研究課題
抗Aβ、抗プリオン凝集阻害作用などが報告されている低分子化合物を含め、12系統79種類の化合物のタウ、αシヌクレイン、Aβの線維化阻害効果の検討を行った。凝集タンパクの検出は電子顕微鏡による観察、チオフラビンSの蛍光強度測定、及び超遠心機を用いたサルコシル不溶性蛋白の検出の3つの方法で行い、阻害効果の見られた化合物については50%阻害濃度(IC50)を求め、その阻害の強さを定量した。抗Aβ凝集阻害作用についても同様に検討し、タウに対する効果、αシヌクレインに対する効果と比較した。その結果、ポリフェノール、ポルフィリン、フェノチアジン、コンゴーレッド誘導体など複数の化合物に全ての蛋白質の凝集を阻害する強い効果が観察された。病気の初期段階を画像で診断するアミロイドイメージングの薬剤が最近開発されているが、そのFSB、BSBといった化合物にも蛋白質の凝集阻害効果が認められた。化合物の添加により凝集阻害がみられたものでは、可溶性の画分に二量体を含むオリゴマーが観察されたことから、阻害化合物は線維化する中間体に結合して阻害効果を発揮すると考えられた。タンパク質の凝集、蓄積と関連して細胞内の重要な機能のひとつが障害を受けるモデルを構築できれば、初期の段階から凝集を抑制する薬剤の探索などに活用できるものと考えられる。タンパク質の凝集に密接な関係が指摘されているユビキチンプロテアソーム系(UPS)の機能を測定することによってタンパク質の初期の凝集傾向がとらえられると考えられ、申請者らはGFPにUPS分解シグナルを付加したコンストラクトを作製し、αシヌクレインと共に神経系の細胞に発現した。その結果、αシヌクレインを過剰発現しただけでUPSによる蛋白質の分解過程が障害されることが観察された。
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Brain (in press)
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