研究課題
Antioxidant-binding catalytic protein(ABCP)は、アストログリアなどで発現している。加齢や変性疾患でABCPの減少が報告され、DNAのダメージや細胞死との関連も示唆されている。ABCPは、統合失調症と連鎖が繰り返し報告される6p21にコードされている。また、統合失調症の2つの多発家系でABCPのアイソエンザイムの連鎖も報告された。そこで、ABCP遺伝子のプロモーター領域とexon/intron junctionを含む全exonについて、多発家系の発端者50例を用いて変異・多型解析を行った。一卵性双生児の一致例において、exon1にadenineのinsertionを同定した。これによりframe shiftが生じるため症例では異常な15アミノ酸をコードしたのちstop codonが生じていた。この一卵性双生児の家族は、自殺した同胞1名と統合失調症の叔父が2名いる多発家系だった。本症例以外の統合失調症においてもABCP遺伝子がリスクファクターとなるか確認するため統合失調症202例、年齢・性別比の一致した187例の対照を用いて関連を解析したところ、missense多型を含む4つのSNPからなるhaplotypeで有意な関連が認められた。我々は、4番染色体短腕および13番染色体長腕のde novo均衡転座を伴う統合失調症弧発例を同定した。それぞれの染色体の転座断端近傍にはグリア関連遺伝子がコードされており、この症例においては転座により当該遺伝子が切断されている可能性が考えられた。そこで、蛍光in situハイブリダイゼーション法を用いて点座談端の解析をおこなった。4p16で3つのsplit cloneを同定した。それぞれが重なりあう37.2kbの領域から転座によって断裂されている遺伝子を同定した。13p21からもsplit cloneが同定され断裂部位を約150kbまで絞り込んだが、この領域に遺伝子は存在しなかった。そこで、4p16にコードされた遺伝子が、本症例において病態に関与することが示唆された。本症例以外の統合失調症においても当該遺伝子がリスクファクターとなるか確認するため統合失調症202例、年齢・性別比の一致した187例の対照を用いて関連を解析したところ、3'側の3つのSNPからなるhaplotypeで有意な関連が認められた。
すべて 2007 2006
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