研究課題
目的:(1)ApoEやABCA1等によって担われる脳内コレステロール代謝の主要経路の解明とHDL産生におけるApoEアイソフォーム依存性の分子機構の解明(細胞外ApoE作用)。(2)ApoEあるいはABCA1の機能制御による脳内コレステロール代謝調節を通してのアルツハイマー病病理発現の抑制法の開発。(3)細胞内ApoE輸送機構ならびに細胞内ApoE機能の解明(細胞内ApoE作用)。方法:(1)ラット大脳皮質から調整した神経細胞培養に各種ApoE等のアクセプターを投与し培地へ放出された脂質(コレステロールおよびリン脂質)を定量する。ApoEは、ヒトApoE3, ApoE4,変異ApoE4、22kDa-ApoE3ならびにApoE4断片、10kDaのC末端断片を用いる。(2)脳内HDL産生を増強させる薬剤スクリーニングを確立し、薬剤探索を行う。(3)FLAG-ApoEリコンビナント蛋白質を用いたアフィニティーカラムを用いた実験から、ApoEに結合しうる蛋白質を同定後、その機能解析を行う。結果:(1):(i)ApoEによるコレステロール搬出はN末端断片のみでアイソフォーム依存的である、(ii)その理由はApoE3 N末端断片が持つシステイン間によるdisulfide結合による2量体形成(分子間相互作用)にある、(iii)C末端断片はそれ自体ではコレステロール搬出能が弱いが、N末端断片の作用を相加的に修飾する、(iv)しかしApoE4では、ドメイン相互作用のためC末端断片が相加的に働かない(分子内相互作用)ことを明らかにし、ApoEアイソフォーム特異的HDL産生機構のほぼ全容が明らかにした。(2)薬剤スクリーニング系を確立し、複数の薬剤ライブラリーを用いて探索を開始した。(3)細胞内でApoE4に特異的に結合する蛋白質を複数同定することに成功した。
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