研究概要 |
「NANTEN2」を用いた銀河系内、近傍銀河の大質量星形成領域に対する230/460/810GHz帯での分子、原子スペクトルによる観測研究を実施した。昨年度より観測に着手したCarina領域など、観測範囲を広げるとともに、13CO(8-7)等、高密度領域をトレースするのに有効な輝線による観測、各種PDR,LVG等のモデル計算との比較をすすめ、大質量星形成領域のガスの密度、温度を決定した。また、G347.3-0.5など、超新星残骸に付随した分子雲に対する観測も行い、超新星爆発による衝撃波を受けた分子雲に特徴的な輝線幅の広いスペクトルを広範囲にわたって検出するなど、サブミリ波観測が、これら大質量星形成領域の星間物質の物理を理解するのに大変有用であることを示唆した。また、「なんてん」CO(1-0)の観測データベースとHI21cmとの比較研究を進め、複数の超新星爆発等により形成されたと考えられるスーパーシェルもまた、中、大質量星形成を誘発していることをカリーナ領域において明らかにした。 装置開発においては、230GHz帯の受信機開発をすすめ、チリ現地でNANTEN2望遠鏡に搭載、W28領域等のCO(2-1)輝線による広域観測を実施した。特に局部発振装置の出力の安定化やリモートチューニングが可能なシステムの開発を行ない、観測効率を向上させた。OTF観測とアタカマの優れた気象条件により、今後、南天銀河面やマゼラン雲等の広域サーベイ観測を強力に進めることを可能とした。
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