研究分担者 |
竹ヶ原 克彦 弘前大学, 理工学部, 教授 (80133924)
酒井 治 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (60005957)
町田 一成 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (50025491)
紺谷 浩 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90272533)
楠瀬 博明 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (00292201)
|
研究概要 |
平成18年度は,以下の研究を遂行した。 1.いくつかのPrスクッテルダイトの秩序変数が,結晶の立方対称性を保つスカラー型であるモデルを提案し,基礎的な観測量をこのモデルによって導出した。本モデルでは,PrFe4P12のNMRの磁場方向依存性,磁化の異方性,帯磁率の等方性などを.自然に説明できる。一方,結晶場がともに単重項であると,秩序変数が絶対零度で消失するので,多重項と近藤効果が関与している可能性が高い。 2.昨年度までに開発した動的平均場理論によるバンド計算プログラムコードを用いて強相関系の雷子状態を求めた。従来の動的平均場バンド計算では、困難であったスピン軌道分裂や結晶場分裂等を取り入れ、原子極限の電子状態を正しく再現する理論的枠組みであるNCA法を拡張し、これをLMTOバンド計算と組み合わせた。 3.Prスクッテルダイトの光電子分光に現れる多重項構造を,微視的なモデルに基づいた計算によって説明した。これらの幅は混成強度を強く反映する。PrFe4P12の強い混成は,他のPrスクッテルダイトに比べて遍歴的な挙動をもたらすことを,光電子分光の様子からも理解できることを示した。 4.理論班主催の研究会を2泊3日で行い,関連の深い実験家も招いて研究の現状を整理し,研究の方向性を見定めた。特に,Prの電子が遍歴する直前にあることを取り入れた理論の必要性,またSmスクッテルダイトの奇妙な秩序変数を解明することが重要であることを確認した。
|