充填スクッテルダイト構造を持つ超伝導体であるPrOs_4Sb_12はその特異な結晶構造に由来した奇妙な超伝導特性を示す。そして超伝導あ発現機構と直接関係ずる超伝導ギャップ関数ぶ異方的であるとの指摘がされている。本研究はPrOs_4Sb_12について走査トンネル顕微鏡/分光法(Scanning Tunneling Microscopy/Spectroscopy:STM/STS)という手法によりその超伝導状態を調べるものである。特に超伝導体内に形成される磁束格子についてSTS法で調べることにより超伝導ギャップ関数についての債報を得ることを目的としている。本年度はPrOs_4Sb_12に磁場を(111)方向にかけた場合について温度0.45KにおけるSTM/STSによる測定を行った。そしで0.2Tから1.4Tまでの磁場範囲でほぼ三角の形状をした磁束格子の測定に成功した。また磁束格子と結晶軸との関係は磁場によって変化しており、結晶軸の対称性を反映していることがわがった。これらの結果ならびに前年度の研究で行った磁場が(001)方向のSTM/STS測定の結果とあわせて、PrOs_4Sb_12における超伝導ギゃップ関数についての考察を行った。これらの測定結果については国内、国外の学会において発表され、現在は投稿論文にまとめているところである。なお本年度の研究では測定の精度向上のために応答速度の早いオシロスコープを購入しノイズへの対策を行った。また実験をするための液体ヘリウムならびに液体窒素の購入のためなどに予算を使用している。
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