研究課題
1)充填スクッテルダイト化合物やクラスレート化合物は大きなカゴ状の構造の中に金属イオンを含んでおり、金属イオンの安定点は6つないし8つあると考えられている。このような系は「多準位近藤効果」を示すことが期待され伝導電子の状態も強く「くりこまれる」と考えられる。本公募研究採択前の研究において、充填スクッテルダイト化合物の超音波伝播の実験に対応すると考えられていた「4準位近藤モデル」を「数値くりこみ群」と「2ループの摂動的くりこみ群」の手法で研究し、両手法ともに新しいタイプの強結合固定点を見出した。その周りでは電子比熱の増大などの異常物性が現れる。18年度は充填スクッテルダイト化合物のより現実的なモデルである「6準位近藤モデル」を「2ループの摂動的くりこみ群」の手法で研究し同様の結果を得た。この結果は都立大学の佐藤グループにより発表されたSmOs_4Sb_<12>の磁場に鈍感な重い電子発現機構を与えている。2)充填スクッテルダイト化合物やクラスレート化合物では、20-30Kの温度領域において超音波分散が見られることがありその起源について活発な議論がなされている。今年度の研究において、電子と強く結合する光学フォノンの低エネルギー励起は強く繰り込まれて「多準位近藤効果」的な様相を示すことに注目し、その光学フォノンが音響フォノンに影響して超音波分散が生じることを理論的に示した。また、この理論は、中性子散乱で見出されたイオン散乱に現れる準弾性散乱成分の存在をも同時に説明できる。(論文準備中)
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J. Magn. Magn. Mater. Vol.310, No.2
ページ: 414-415
J. Phys. Soc. Jpn. Suppl. Vol.75
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ページ: 064706-1-21