研究概要 |
充填スクッテルダイトLnM_4X_<12>はLnに希土類、Mに8,9族の遷移金属、Xに15族元素を配した構造を持つ。Ln,Mサイトは多くの元素による置換が行われ興味深い物性が発見されているが、Xサイトは、ほとんどの場合15族元素のみで占められており、このXサイトを置換した充填スクッテルダイトの研究はほとんど行われていない。当研究者は昨年度までの特定領域研究において、初めて14族元素で骨格を一部置換した充填スクッテルダイトLaRh_4Sb_9Ge_3の合成に成功した。本研究では、リートベルト法によってLaRh_4Sb_9Ge_3の構造を解析し、14族元素であるGeが確かに15族元素のサイト(スクッテルダイト骨格)を置換していることを明らかにするとともに、スクッテルダイト構造では、遷移金属サイトが欠陥する可能性を指摘した。また、高圧合成により、更に多くの骨格置換充填スクッテルダイトの合成に取り組み、以下に示すように、一連のGe置換化合物群の合成に成功した。 1.Rh-Sb系:LaRh_4Sb_9Ge_3,CeRh_4Sb_9Ge_3,PrRh_4Sb_9Ge_3,NdRh_4Sb_9Ge_3,EuRh_4Sb_9Ge_3 2.Co-Sb系:LaCo_4Sb_9Ge_3,CeCo_4Sb_9Ge_3,PrCo_4Sb_9Ge_3,NdCo_4Sb_9Ge_3 また、磁化率測定の結果、その多くがキュリー=ワイス則に従う常磁性体であり、希土類原子の価数はいずれも3+であることがわかった。 更に、アンチモン系だけでなく、リン系のスクッテルダイトについても、骨格元素であるリンをGeで置換できることを明らかにした。得られた化合物は次のものである。 3.Rh-P系:LaRh_4P_9Ge_3,CeRh_4P_9Ge_3 以上、本研究では一連のGe置換型充填スクッテルダイトの合成法を確立するとともに、その構造ならびに磁性についての研究を行った。
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