研究課題
放射光や原子核をプローブとし、その特徴である元素選択性を主に利用した充填スクッテルダイト化合物における格子振動および電子状態に関する研究を行なった。格子振動に関する研究では、元素ごとのフォノン状態密度を直接測定できる核共鳴非弾性散乱と微少な試料でもフォノン分散が観測できる高分解能X線非弾性散乱で主に希土類元素の振動状態について調べた。その結果、希土類元素の振動数はカゴを構成する元素だけではなく、電子状態や充填元素に依存することを明らかにした。X線吸収による研究では、Sm充填スクッテルダイトに関してSmイオンの価数について調べた。その結果、多くのSm充填スクッテルダイトのSmの価数は3価であったが、SmOs_4Sb_<12>だけは価数揺動が示唆される2価と3価の混合原子価状態であることが明らかとなった。また、低温で強磁性転移を示すにもかかわらず、低温で非磁性の2価が安定化することから、この2価のSmイオンの存在がSmOs_4Sb_<12>で発現する特異な重い電子的振舞いに関連があると結論付けた。メスバウアー分光による研究では、主に^<57>Feメスバウアー分光および^<99>Ruのメスバウアー分光を行なった。^<57>Feメスバウアー分光では、2次のドップラー・シフトから得られるデバイ温度が核共鳴非弾性散乱で得られる光学モードのエネルギーとよく一致することやFeP系スクッテルダイトにおいて四極子相互作用の温度変化がよく知られる温度の3/2乗則に従わないことを明らかにした。SmRu_4P_<12>の金属絶縁体転移温度以下でSmサイトからトランスファーされる内部磁場が検出限界以下であることを明らかにした。共鳴X線散乱による研究では、PrRu_4P_<12>の金属絶縁体転移に伴う多極子転移の可能性について調べた。q=(100)において超格子反射を観測するとともにそのqにおける共鳴を観測し、PrRu_4P_<12>の金属絶縁体転移には4f電子が関与していることを明らかにした。
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