研究課題
放射光の特徴であるエネルギー可変性、高輝度、パルス性を利用し、充填スクッテルダイト化合物における格子振動、電子状態、構造に関する研究を行った。格子振動に関する研究では、SmRu4P12のSm-149核共鳴非弾性散乱および高分解能X線非弾性散乱を用いて、Pの正20面体に内包されたSm原子の振動モードの分散が非常に小さく、音響フォノンと反交差していることを実験的に証明した。それと同時に、同じ結晶構造を持ち金属絶縁体転移を示すPrRu4P12とは異なって、金属絶縁体転移では構造変化が起こらないことをフォノン分散の温度変化から明らかにした。また、Pよりのカゴのサイズの大きなLa0s4Sb12についても高分解能X線非弾性散乱を行ない、非充填化合物のIrSb3のフォノン分散との比較から、Sbの正20面体に内包されるLaの分散を実験的に検証するとともに、その非調和性についても調べた。構造に関する研究では、前年度に調べたSm0s4Sb12のSmサイトの温度変化に伴う構造の変化の有無に関して放射光粉末X線回折を用いて調べた。その結果、温度を低下させるとともにイオン半径の大きな2価のSmイオンの3価のSmイオンに対する割合が増加するにもかかわらず、それを内包するSbのカゴが収縮することが明らかとなった。このことは、重い電子的振舞いが実現するために必要な伝導電子と4f電子の強い混成を実現することと関連していることを示唆している。
すべて 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Journal of Physical Society of Japan 76
ページ: 0532601-1-0532601-4
ページ: 065003-1-065003-2
Journal of Physics:Conference Series 92
ページ: 012171-1-012171-4