研究課題/領域番号 |
18028018
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
吉岡 英生 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (40252225)
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研究分担者 |
加藤 岳生 東京大学, 物性研究所, 准教授 (80332956)
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キーワード | 分子性導体 / 擬一次元 / 電荷秩序 / 拡張ハバード模型 / ボソン化法 / 繰り込み群 / 二次元 / 電荷揺らぎ |
研究概要 |
擬一次元電子系で見出されている様々な秩序状態の有限温度における性質を理論的に考察するには、従来、純粋な一次元の模型に対して平均場近似が適用されてきた。しかしながら、純粋な一次元系は有限温度で相転移しないことが知られているため、そのような理論的取り扱いは不十分である。我々は、「ボソン化・繰り込み群」という解析的な手法と「有限系の厳密対角化」という数値的な手法を組み合わせて有限温度における一次元系の様々な物理量をより定量的に記述することのできる理論を構築した。その理論を一次元拡張ハバード鎖が鎖間相互作用で結合した擬一次元電子系に適用して、擬一次元分子性導体の電荷秩序状態におけるスピン磁化率や電気抵抗の温度依存性を考察した。我々が用いた手法並びに得られた結果は以下のとおりである。擬一次元拡張ハバード模型に対して鎖間平均場近似を適用し、得られた有効一次元模型をボソン化法で取り扱う。その際、ハミルトニアンは電荷の自由度を表わす部分とスピンの自由度を表わす部分に分けられ、それぞれダブルサインゴルドン模型、通常のサインゴルドン模型によって記述される。そこに現れるパラメータを厳密対角化によって決定し、その値を初期値として繰り込み群方程式を解き、有限温度のいろいろな物性を議論する。スピン磁化率は電荷秩序転移温度で何も異常を示さないが、電荷秩序がない場合に比べその値は大きくなる。これは、スピン励起の速度の減少が原因である。一方、電荷の自由度によって記述される電気抵抗は電荷秩序転移温度で傾きの変化を伴って大きくなる。この結果は実験で観測された電気抵抗の振る舞いと定性的に一致する。さらに、電荷秩序近傍の電荷揺らぎの成長が二次元系の様々な応答に対してどのような効果を及ぼすかについてRPA近似を超えた考察を行なった。
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