研究課題/領域番号 |
18028026
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
妹尾 仁嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (30415054)
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研究分担者 |
坂井 徹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60235116)
大塚 雄一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 協力研究員 (30390652)
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キーワード | 物性理論 / 有機導体 / 強相関電子系 |
研究概要 |
本年度は1/4充填の伝導バンドを持つ電荷移動型の分子性導体に対する数値的理論研究を中心に遂行した。また、分子性導体における電荷秩序現象に関するレビュー論文をJournal of the Physical Society of Japan誌上のSpecial Topicsにおいて発表した。上記の数値的理論研究については:(A)θ-ET_2Xやα-ET_2Xなどの擬2次元系や、PrBa_2Cu_4O_8などの擬1次元系における電荷秩序や関連の現象において、サイト間クーロン力における幾何学的フラストレーション効果が重要であるという以前の我々の提案を元に、フラストレーションによって電荷秩序が量子融解を起こした結果実現する金属状態において低エネルギーの集団電荷励起が顕著に残る異常な振舞を見出した。これらの問題に対しては競合する異なる電荷秩序パターンを安定化させるサイト間クーロン相互作用を含んだ1次元および2次元拡張ハバードモデルに対して数値的厳密対角化(ランチョス法)を用いた。(B)TMTTF_2XやDCNQI_2Xなどの擬1次元分子性導体における強い電子相関および電子格子相互作用が絡んだ複合相転移現象を調べるため、擬1次元の拡張ハバードモデルに電子格子相互作用も考慮し、これに対して数値的量子転送法を用いて有限温度物性を相転移前後において計算した。その結果、ウィグナー結晶型の電荷秩序転移、ダイマーモット転移(格子2量体化)、およびスピンパイエルス転移(格子4量体化)を有限温度における数値的量子転送行列法によって再現し重要なパラメータを同定し、臨界温度領域での熱力学的物理量の振舞を直接計算して求めることによって相転移の性質を明らかにした。
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