• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

金属ガラス形成能の低域雰囲気圧力依存性の解明と応用

研究課題

研究課題/領域番号 18029003
研究機関東北大学

研究代表者

加藤 秀実  東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80323096)

キーワード金属ガラス / ガラス形成能 / 準結晶 / 相変態 / ナノ結晶 / 核生成理論
研究概要

Zr_<65>Al_<7.5>Ni_<10>Cu_<17.5-x>Pd_x (x=0-17.5at%)合金の凝固相のAr雰囲気圧力(2×10^<-3>〜10^5Pa)依存性について調査した。ガラス形成能(GFA)の雰囲気圧力依存性は、Pd添加量によって大きく変化し、高Pd添加合金(x>5 at%)程、臨界ガラス形成直径の変化が大きいことが確認された。この現象は、合金組成の変化、圧力による融点変化および臨界核形成エネルギーの変化によって解釈できないことを確認した。鋳造凝固中の冷却曲線の雰囲気圧力依存性を直接測定し、これと連続冷却変態(CCT)曲線との関係に注目して、本合金系におけるGFAの低域圧力依存機構を考察した。T_g+160K (T_g:ガラス遷移温度)以下の温度範囲で冷却が鈍る現象がPd量および雰囲気圧力に依存せずに観察された。冷却中にこの温度域で過冷却液体(SCL)表面と鋳型表面の間に空間が形成・成長し、冷却速度が雰囲気ガス種・圧力に大きく依存することを、試料および鋳型表面粗さ観察等によって確認した。
一方、各合金のCCT図を実測した結果、低Pd (x<12.5 at%)合金は、SCL高温域にのみ変態曲線が存在するのに対し、高Pd (x【greater than or equal】12.5at%)合金では、準結晶に対応する変態曲線(ノーズ温度〜T_g+150K)が、T_g直上に存在することがわかった。よって、高Pd添加合金のみが、SCL低温度域での冷却挙動の変化にそのガラス形成を依存する機構が明らかになった。
冷却速度が雰囲気圧力に依存することを利用して、BMGの圧縮変形挙動の冷却速度依存性を調査した。冷却速度が大きい程、ヤング率は減少することがわかった。降伏応力もヤング率と同様に減少する結果、BMGの降伏歪(弾性限界で定義)は冷却速度に依存せず、ほぼ0.018であることが確認された。このことは、BMGの降伏歪(弾性限界)が試料の受けた熱履歴に依存しないことを示しており、BMGの変形・破壊挙動の本質を知る上で重要なヒントを与えると考えられる。一方、塑性歪には冷却速度の増加に伴って減少する傾向が確認され、未緩和ガラス状態が延性に有利であるといった従来の見解に一石を投じる実験結果を示した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] On structural relaxation and viscous work heating during the non-Newtonian viscous flow in a Zr_<55>Al_<10>Ni_5Cu_<30> bulk metallic glass2006

    • 著者名/発表者名
      H.Kato, A.Inoue, H.S.Chen
    • 雑誌名

      Acta Mater. 54

      ページ: 891-898

  • [雑誌論文] Fragility and thermal stability of Pt- and Pd- based bulk glass forming liquids and their correlation with deformability2006

    • 著者名/発表者名
      H.Kato, T.Wada, M.Hasegawa, A.Inoue, J.Saida, H.S.Chen
    • 雑誌名

      Scripta Mater. 54

      ページ: 2023-2027

  • [雑誌論文] Influence of thermal conductivity on the glass-forming ability of Ni-based and Cu-based alloys2006

    • 著者名/発表者名
      DV.Louzgunie-Luzgin, AD Setyawan, H.Kato, A.Inoue
    • 雑誌名

      Appl. Phys. Lett. 88

      ページ: 251902

  • [雑誌論文] Hydrogen-induced internal friction of Ti-rich multicomponent glassy alloys2006

    • 著者名/発表者名
      M.Hasegawa, M.Takeuchi, H.Kato, S.Yamaura, A.Inoue
    • 雑誌名

      Mater. Sci. Eng. A442

      ページ: 106-108

  • [雑誌論文] Internal friction of and mechanical strength on hydrogenated Ti-rich multicomponent glassy alloys2006

    • 著者名/発表者名
      M.Hasegawa, M.Takeuchi, D.Nagta, T.Wada, H.Kato, S.Yamaura, A.Inoue
    • 雑誌名

      Key Eng. Mater 319

      ページ: 139-143

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi