・Ni基バルク金属複合ガラスの電気抵抗を評価した。金属粒子の分散により抵抗値は著しく下がり、伝導特性を改善した。高伝導物質のしきい値が11%と小さいことがわかった。ガラス複合材料の電気伝導特性がパーコレーション理論に基づいた有効媒質近似が有効であることがわかり、これによりバルク金属複合ガラスの電気特性の定量評価に大いに役立てることができる。例えば、金属ガラスに延性金属相を導入することで引張延性が著しく改善するのでこのパーコレーション理論に基づいた有効媒質近似と併用することで優れた線材や電子部品への設計が可能になると思われる。 ・Ni基金属ガラスと黄銅の複合金属ガラスについて、金属相とアモルファス相の界面とその機械的特性にっいて調査した。界面には中間相が生成されていることがわかり、厚さが50nm-100nmであった。電子顕微鏡により評価を行い、中間相の生成はアモルファス相と金属相の相互拡散による物であることがわかった。中間相にナノインデンテーションの圧子による局所変形を加えると、その中間相でクラックの伝搬を抑制していることがわかった。したがって、生成した中間相は界面強度を強めるだ絵でなく、せん断変形による破壊を防ぐための緩衝相として働いていることがわかった。 ・延性を有する金属ガラスNi50Pd30P20の変形時に観察されるセレーションの起源について調査した。せん断帯に沿って広範囲なナノ結晶化が観察され、ナノ結晶内部には転位、双晶、キンク帯が観察された。それらの観察により、局所の歪み軟化とせん断帯運動の抑制は誘起ナノ結晶に起因することがわかった。
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