研究概要 |
我々は、球面収差補正電子顕微鏡を用いてPd-Ni-P金属ガラスを観察し、ガラス中に点在する結晶性ナノ粒子を鮮明に捉えることに成功した。また、非弾性散乱を除去した電子回折図形を撮影し、リバースモンテカルロ法を用いて動径分布解析をおこなうことにより、ガラス内部にfcc構造のナノ粒子が包埋されている構造モデルを原子レベルで構築することに成功した。さらに、このモデルのボロノイ多面体解析を行うことにより、ナノレベルでの構造相分離はガラス形成途中で起こることが示され、金属ガラスの相安定化機構の解明に重要な進展が与えられた[雑誌論文1,2]。 さらに次の展開として、より精密なナノ構造解析を目指し、収差補正TEMの特長を生かした制限視野ナノ回折法の手法確立を行った。この結果、直径5nmの領域からの平行照射による回折図形取得が可能となり、金属ガラス中に点在する単一ナノ粒子の解析が可能となった(学会等にて講演)。
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